蛋白合成阻害薬について解説していきます。
蛋白合成阻害を主な作用機序とする抗菌薬の系統は以下の通りです。
蛋白合成阻害薬はその作用機序からリボソーム50Sサブユニットに結合するもの、30Sサブユニットに結合するものに大別することができます。
どちらの作用機序の薬剤も細菌のmRNAの翻訳を障害し、蛋白合成を阻害することによって抗菌作用を示します 。
すべてを一つの記事にまとめると長くなってしまうので、今回はマクロライド系薬に焦点を当てて解説します。
マクロライド系薬、リンコマイシン系薬、オキサゾリジノン系薬が上記にあたります。
これらの系統の薬剤は細菌リボソームの50S サブユニットと結合し、蛋白合成を阻害します。
大分子量のラクトン環に中性糖又はアミノ糖が結合した細菌のタンパク質合成を阻害する抗生物質の総称をマクロライド系薬と呼びます。
細菌のリボソーム50Sサブユニットの23SrRNAに結合し、ペプチド転移反応を阻害することにより静菌的に作用を示します。
主としてグラム陽性菌に有効であり、肝や肺などへの組織移行性が高くβ-ラクタム薬やアミノグリコシド系薬が効きにくいマイコプラズマやクラミジアなどの感染症にも用いられます。
球菌に対する抗菌力は強いが、大型なために外膜のポリンを通過できず、桿菌には無効です。
ラクトン環の数で大別され、14員環、15員環、16員環、18員環の薬剤があります。
マクロライド系薬の概要についてはこちらもご参照ください。
エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシンがあります。
マクロライド系薬はCYP3A4活性を阻害することが知られており、特に14員環マクロライド系薬は併用禁忌薬や併用注意薬が多いので注意が必要です。
代表的なものにアジスロマイシンがあります。
グラム陽性菌、クラミジア、マイコプラズマに対し強い抗菌力を有し、他のマクロライド系薬に比べグラム陰性菌にも強い抗菌力を有しています。
半減期が長く、服用終了数日後でも副作用の発現の可能性があります。
14員環系薬に比べ相互作用は少ないですが、ワルファリン、シクロスポリン、ジゴキシンとは併用注意となっています。
ジョサマイシン、スピラマイシンがあります。
耐性誘導能が低く、マクロライド耐性黄色ブドウ球菌の一部(誘導型)に抗菌活性を示します。
また、グラム陽性のマクロライド耐性菌の一部(排出型)に抗菌活性を示します。
代表的なものにフィダキソマイシンがあります。
ほとんど吸収されることがないので感染性腸炎に使われます。
比較的安全性の高い抗菌薬ですが、以下のような副作用が発現する可能性があります。
消化器症状についてはモチリン様作用による腸管蠕動亢進が関与しています。
また、エリスロマイシン点滴静注時は血管痛や血栓性静脈炎に注意が必要です。
さらに急速静注では不整脈を誘発する可能性があるため2時間以上かけて点滴静注しなければいけません。
長くなってしまうので、今回はマクロライド系薬のみについてまとめました。
お読みいただきありがとうございました。
リボソーム50Sサブユニットに結合する抗菌薬はどれかぜひこちらの関連問題も解いてみてください。