放射性核種、放射線についての解説記事です。
定義やそれぞれの放射線を放出する代表的な放射性核種について解説します。
関連記事として例題も載せておくので、よろしければ合わせてご覧ください。
文字通り、放射能をもつ核種のことです。
核種とは原子核の陽子と中性子の数で原子を分類した場合の原子の種類のことを指します。
上記は炭素Cの核種の表記の例です。
元素記号一つに対して原子番号一つが割り当てられています。
なので、同じ元素であれば陽子数は同じです。
一般的には元素記号と質量数のみが表記されることが多いです。
同じ原子番号の元素でも質量数が異なるもの(中性子の数が異なるもの)を同位体または同位元素を呼びます 。
その中で放射線を出すものを放射性同位体(ラジオアイソトープ)、放射線を出さないものを安定同位体と呼びます。
ちなみに電子の質量は陽子に比べて約1840分の1と言われているので電子の質量は無視してしまって良いです。
放射線は不安定な原子核が別の原子核に変化していく過程で放出されます。
この原子核が変化していく過程のことを壊変と呼びます。
放射線は大きく分けて高速の粒子と波長が短い電磁波に分けられます。
放射能は放射線を出す能力、放射性物質は放射線を出す物質を指します 。
よく電球と電球から出る光に例えられますね。
放射線には上記で紹介したα線、β線、γ線、X線、中性子線などの種類があります。
これらはいずれも物質を透過する性質を持っています。
その他、放射線のもつ性質として電離作用、励起(蛍光)作用、写真(感光)作用があります。
これらをまとめて物質相互作用と呼びます。
α線はα壊変に伴って原子核から放出されるヘリウム原子核です。
α壊変を起こしやすい核種は質量数が200を超えるものと覚えておけばいいと思います。
つまり、具体的にはラドン、ラジウム、トリウム、ウランなどの核種が該当します。
α線のエネルギーは線スペクトルを示します。
β線はβ壊変に伴って原子核から放出される陽電子(e+)または陰電子(e–)です。
β壊変にはβ+線(陽電子)を放出するβ+壊変とβ–線(陰電子)を放出するβ–壊変の2種類があります。
β+線は放出され、運動エネルギーを失った後、陰電子と結合し消滅します。
消滅する際に180°方向に消滅γ線を放出します。
β+線、β–線を放出する主な核種は以下の通りです。
β−線の物質との相互作用には以下のようなものがあります。
また、β壊変には他に軌道電子捕獲(EC)があります。
上記のX線は核外から発生し、透過力は極めて大きく、物質相互作用は極めて小さいです。
制動X線は連続スペクトル、特性X線は線スペクトルを示します。
いずれのβ壊変においても壊変前後で質量数に変化はありません。
β線のエネルギーは連続スペクトルを示します。
β+線を放出する核種は?γ線はα壊変、β壊変の直後、不安定な励起状態の原子核が安定な基底状態になろうとする際に放出されるエネルギー(電磁波)です。
γ線は核内から発生し、電磁波が放出されるだけなので、原子番号も質量数も変化しません。
また、γ放射において励起状態が長く続くことがあり、このような核種を核異性体とよび、質量数のあとに「m」をつけて表します。
この核異性体がゆっくりγ線を放出しながら基底状態に戻る現象を核異性体転移と言います。
γ線と物質との相互作用には以下のようなものがあります。
長くなってしまうので今回はここまでとさせていただきます。
放射線関連の学習内容として今回解説したもの以外にも放射線に関する単位や放射平衡などがあります。
放射線に関する単位や測定方法についてはこちらをご覧ください。
放射線に関する単位や放射線の測定、影響放射平衡についてはこちらをご覧ください。
放射能に関する計算と放射平衡