細菌のリボソーム30Sサブユニットに結合して、タンパク質合成を阻害する抗菌薬はどれか?ひとつ選べ。
- エリスロマイシン
- ストレプトマイシン
- リネゾリド
- リファンピシン
- ミノサイクリン
- レボフロキサシン
- バンコマイシン
解答は②、⑤です。
抗菌薬の作用機序に関する問題です。
抗菌薬が細菌のどの部分に作用し薬効を示すか押さえておきましょう。
今回の問題の選択肢について、それぞれどこに作用しているか見ていきましょう。
エリスロマイシンはマクロライド系薬に分類される抗菌薬です。
マクロライド系薬は細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合します。
これによって細菌のタンパク合成を阻害し、抗菌作用を示します。
マクロライド系薬はエリスロマイシン以外にクラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アジスロマイシン、ジョサマイシン、スピラマイシン、フィダキソマイシンがあります。
ストレプトマイシンはアミノグリコシド系薬に分類される抗菌薬です。
アミノグリコシド系薬は細菌のリボソーム30Sサブユニットに結合します。
これによってmRNAの誤翻訳を引き起こし、細菌のタンパク合成を阻害し、抗菌作用を示します。
アミノグリコシド系薬にはストレプトレプト以外にカナマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ジベカシン、アミカシン、イセパマイシンがあります。
リネゾリドはオキサゾリジノン系薬に分類される抗菌薬です。
オキサゾリジノン系薬は細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合します。
これによって細菌のタンパク合成を阻害し、抗菌作用を示します。
リネゾリドはバンコマイシン耐性Enterococus faecium(VREF)感染症に適応をもっています。
作用は静菌的であり、既存の抗菌薬との間に交差耐性を示しません。
また、腸管からの吸収が高く、注射と内服で同等の薬物動態を示すのも特徴です。
オキサゾリジノン系薬にはリネゾリドの他にテジゾリドがあります。
リファンピシンはリファマイシン系薬に分類される抗菌薬です。
リファンピシンは細菌のDNA依存性RNAポリメラーゼに作用します。
これによって細菌のRNA合成の開始反応を阻害し、抗菌作用を示します。
リファンピシンはイソニアジド、エタンブトール、ピラジナミドと併用して結核治療に使用されます。
結核の治療に関してはこちらの近畿中央呼吸器センターのHPをごらんください。
ミノサイクリンはテトラサイクリン系薬に分類される抗菌薬です。
テトラサイクリン系薬は細菌のリボソーム30Sサブユニットに結合します。
これによって細菌のタンパク合成を阻害し、抗菌作用を示します。
抗菌スペクトラムは広いが、多くの細菌が耐性化しているという問題があります。
半減期が長く、排泄が遅いので、投与回数は少なくすむが、組織への蓄積に注意が必要です。
テトラサイクリン系薬にはミノサイクリンの他にドキシサイクリン、チゲサイクリンなどがあります。
レボフロキサシンはニューキノロン系薬に分類される抗菌薬です。
ニューキノロン系薬は細菌のDNAジャイレースとDNAトポイソメラーゼⅣを阻害します。
これによってDNA複製を阻害し、抗菌作用を示します。
グラム陰性菌ではDNAジャイレース、グラム陽性菌ではDNAトポイソメラーゼⅣが主な作用点となります。
殺菌作用は濃度依存的なので、1日1回投与により最高血中濃度を高くする方法が効果的です。
ニューキノロン系薬にはレボフロキサシンの他にノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、ロメフロキサシン、トスフロキサシン、パズフロキサシン、モキシフロキサシン、ガレノキサシン、シタフロキサシン、ラスクフロキサシンがあります。
バンコマイシンはグリコペプチド系薬に分類される抗菌薬です。
グリコペプチド系薬はペプリドグリカン前駆体のD-Ala-D-Ala部位に結合します。
これによって細菌の細胞壁の合成を阻害します。
グラム陽性菌に対して 高い抗菌作用を示し、特にMRSA感染症などの治療に使われます。
治療域を超えた血中濃度では副作用が発現しやすいため、TDMが必要な薬剤となっています。
グリコペプチド系薬はバンコマイシンの他にテイコプラニンがあります。
今回は抗菌薬の作用機序に焦点を当てて解説を作成しました。
それぞれの抗菌薬の作用機序以外の副作用等の特徴に関しては改めて記事を作成予定です。
私が実践していた勉強方法がこちらです。
万人にオススメ!無駄を削いだ勉強方法参考になる部分がありましたら是非実践してみていただけたらと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。