次のうち、薬剤名と作用機序の正しい組み合わせを全て選べ
- フロセミド:遠位尿細管でNa+/Cl−共輸送体を阻害し、Na+再吸収を抑制する。
- スピロノラクトン:遠位尿細管、集合管のNaチャネルを抑制し、Na+再吸収の抑制、K+の排泄を抑制する。
- トルバプタン:バソプレシンV2受容体に拮抗し、腎集合管における水の再吸収を阻害する。
- トリクロルメチアジド:ヘンレ係蹄上行脚のNa+/K+/2Cl−共輸送体を阻害し、Na+とK+の再吸収を抑制する。
- トリアムテレン:アルドステロン受容体を阻害し、Na+排泄を促進し、K+の排泄を減少させる。
解答は③です。
利尿剤の作用機序についておさらいしてみましょう。
①ループ利尿薬(フロセミド、アゾセミド、トラセミド等)
ヘンレ係蹄上行脚のNa+/K+/2Cl−共輸送体を阻害し、Na+とK+の再吸収を抑制します。
これに伴い、腎尿細管細胞間を通してCa2+とMg2+の再吸収も抑制されます。
腎血流量や糸球体濾過率に影響を与えないため、腎障害合併高血圧患者にも使用しやすいです。
②サイアザイド(チアジド)系利尿薬(トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド等)
遠位尿細管でNa+/Cl−共輸送体を阻害し、Na+再吸収を抑制します。
また、遠位尿細管でのNa+-Ca2+交換が阻害されるため、Ca2+の保持に働きます。
利尿薬の中では比較的強い降圧作用を有しています。
低カリウム血症や糖、脂質、尿酸の代謝に影響を与えるので注意が必要です。
腎機能低下時の効果は乏しく、慢性腎不全患者では効果は期待できません。
③バソプレシン受容体拮抗薬(トルバプタン)
バソプレシンV2受容体にてバソプレシンと拮抗し、水の再吸収を抑制することで利尿作用を示します。
水のみを尿として排出するため、Na+などの電解質の動きには影響を与えないことが特徴です。
ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬を使用しても体液貯留のコントロールが困難な患者さんが良い適応となります。
水のみを尿として排出するため、Na+の貯留、高Na+血症に注意が必要です。
④K保持性利尿薬・MR拮抗薬(トリアムテレン:Naチャネル阻害薬、スピロノラクトン・カンレノ酸カリウム:MR拮抗薬)
遠位尿細管に作用し、ごく弱い利尿効果しか期待できませんが、他の利尿剤による電解質異常の補正に適しています。
スピロノラクトン、カンレノ酸カリウムはミネラルコルチコイド受容体(MR)にてアルドステロンと拮抗しNa+排泄を促進、K+の排泄を抑制します。
トリアムテレンはアルドステロンとは無関係に遠位尿細管と皮質部尿細管にてNaチャネルを遮断し、Na+の再吸収を抑制、K+の排泄を抑制します。
したがって上記問題では
①はトリクロルメチアジドなどのサイアザイド系利尿薬の記述
②はトリアムテレンなどのNaチャネル遮断薬の記述
③はバソプレシン受容体拮抗薬 トルバプタンの記述
④はフロセミドなどのループ利尿薬の記述
⑤はスピロノラクトンなどのMR拮抗薬の記述
となっています。
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最後までご覧いただきありがとうございました。